紙の媒体とは

紙の本と新聞との差異とは何であろうか。

速報性においては新聞が強いのは自明なことだが、速報性ならネットやテレビの方がより強い。では、論証性や実証性に強いのか、いや、それなら紙の本が圧倒的な力を持つ。

じゃあ、新聞はどこに拠り所があるのだろうか。どこにもないし、中途半端な存在にすぎないということがまさしく、答えなのである。

ただ、本で書く場合、数年の期間、いや、それ以上の期間がかかる。

短期間なら新聞で詳細な調査報道が力をきかせるかもしれない。

スクープ合戦を繰り広げ、脚で稼ぐことが何よりということが何よりも無差異なのであり、脚で稼ぐことは地道な調査にかけられるべきものであり、他社を出し抜くという凡庸とは正反対の愚鈍さが産業革命の全盛期であった19世紀から持続しているということを認識することがまさしく重要であるということが忘れ去られている。

他が何をしていようと事実や物事を真っ直ぐに伝えればいいのであり、それこそ凡庸さを極めればいいことであるのだが、凡庸さとは極めることがきわめて難しいという皮肉な現実を誰も理解していない。