芸術の形式について

 新年を迎えたが、私のいた演劇研究会は相変わらずの状況のようだ。Twitterに流れてくる妙なアニメ関連ツイートへの「いいね!」をみて、そう考えてしまった。

 

 そもそも演劇は芸術の形式の中で、どこに位置付けられるのだろうか。アンドレ・バザン「映画とは何か」の冒頭はその点印象的だ。芸術の形式への言及が行われ、演劇とどう違うのか、今までの芸術形式といかにして異なるのか、しっかり説明している。

 作品を分析したり、自身の創作の立ち位置を知ったりするのにとても大切な観点であるが、実際に芸術の形式といわれて思い浮かばない人が多く、「そんな難しいことはお構いなし」みたいな態度も蔓延していた。

 

 話が少しそれた。本題に戻ろう。芸術の形式の話をすると必ず今では「七芸術」みたいな言い換えをする。構成要素は、建築、彫刻、絵画、音楽、舞踏、文学そして映画の7つだ。演劇はないが、これは舞踏のグループに入れ、文学が一番後ろにあるのも興味深い。映画を「第七芸術」というのも、フランスの評論家のカニュードによる著作がこれを提唱したからに他ならない。バザンの評論の冒頭もこれを意識したのだろう。「映画を芸術形式の一つに数えてみたらどう?」

 

 ここまで芸術の形式について手短に振り返ってきたが、今から問題となるのは、この形式そのものの枠組みが古いとか独善的というような長い問いなのではない。創作したり、鑑賞したりする際に、意識的に思考できない人が多いということが、まさしく本題なのである。